SSブログ
└ミステリー ブログトップ
前の10件 | 次の10件

海外ミステリーを読む(その43) [└ミステリー]

S.S.ヴァンダイン(1888〜1939)の『ベンスン殺人事件』です。
発表年は、1926年。『The Benson Murder Case』 391P

名探偵ファイロ・ヴァンスの初登場作品であります。
それとともに、
アメリカ推理小説の黄金時代を告げる記念碑的作品でもあります。

物語の発端は、題名が示すごとく、
ベンスン氏が拳銃で殺されているのが発見されるところから。

ひょんなことから、事件に関与することになったファイロ・ヴァンスが、死体現場へ行って、5分で犯人を確信する。
→ヴァンスがそう語るくだりが後にある。

この時点で確かに、確証はなくても、いくつかのヒントから、犯人を当てることはできるかもしれない。
→幕開けの細かい描写は注意して読むべし!

しかし、ここからが、ヴァンダインの作風であり、ファイロ・ヴァンスの性格、捜査手法を顕著に現すストーリー展開となる。

警察(大概の名探偵も)は、物的証拠、情況証拠、アリバイ、動機という線から捜査を進める。ごくあたりまえのことなのですが、、、。

この手法がいかに、間違いに陥りやすいか、
あてにならないかをトコトン見せつけてくれます。

たくさんいる容疑者、
アリバイがない、動機は十分、情況証拠もある!
奴に間違いない! ←犯人ということにしても矛盾しないほど条件揃い。

だ、だのに。

フフン! 彼(彼女)では、ありえないね。
だって君、〜じゃないかね。

マーカム検事とヒース部長刑事は、逮捕状を出しかけた容疑者を、
次々にヴァンスに否定されていく。

え〜い!、だったら誰なんだ!言ってみろよ!
とうとうマーカム検事が怒っちゃう。
読者も怒っちゃうぞ〜。じらすな〜。

小説なので、ご都合主義的な部分もありますが、
要は、目先の証拠などに惑わされず、人間心理の動きから見極めれば、自ずから答えは見えてくるということだそうです。

ヴァンダイン第一作、本格推理を十分に満喫できる作品です。

で、次回はカーの『猫と鼠の殺人』

ベンスン殺人事件

ベンスン殺人事件

  • 作者: ヴァン・ダイン
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 1959/05
  • メディア: 文庫


nice!(1)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

海外ミステリーを読む(その42) [└ミステリー]

スミスアンドウェッソン38口径
1932年型モーゼル
コルト45
ワルサーPPK
ウェブレイ45
サウアー765

この作品に出てくる「銃」の名称である。


続きを読む


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

海外ミステリーを読む(その41) [└ミステリー]

コリン・デクスター(1930〜)の『キドリントンから消えた娘』です。
発表年は、1976年。『Last Seen Wearing』392P

現代本格推理の代表格、コリン・デクスターをやっと読めました。
実は、この作品、図書館で3回も借りた経歴がある。

読みたいなと思って借りるのだけれど、持って帰ると、何となく手をつけられずに、他の本ばかり読んでて、いつのまにか期限がきてしまう。
なんとなく、フィーリングが合っていかない。

今回は、「読むぞ〜」と固い!決意で立ち向かって、完読となりました。

続きを読む


nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

海外ミステリーを読む(その40) [└ミステリー]

アガサ・クリスティ(1890〜1976)の『検察側の証人』です。
発表年は、1953年。『Witness for the Prosecution』

220ページの短い作品です。
しかも、戯曲なので、セリフ回しで書いてあり、文字数が少ない。
あっと言う間に読めてしまいます。

すごい「どんでん返し」というのが、一番の特徴。
もちろん、そのつもりで読んでいました。
そして、裏のその裏ぐらいまで、
よし!分かった、フフフッと思っていたのですが、、、。

クククッ、なんと、その裏の裏をかかれてしまいました。(|||_|||)ガビーン
ん〜、てことは真実はどっちなんだ、、、?

典型的な法廷劇です。
法廷劇といえば『十二人の怒れる男』をまず第一に思い浮かべますが、
あれも、ドンデン返しで、その終わり方の印象(感覚)に似たものを感じました。

余談
12月にBS2で、アガサ・クリスティー特集があるそうで、
ポアロ、マープル登場作品がオンエアされます。
前に読んだ『書斎の死体』なんかもあるので、
どう映像化されているか、興味のあるところです。

検察側の証人

検察側の証人

  • 作者: アガサ・クリスティー
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2004/05/14
  • メディア: 文庫


nice!(2)  コメント(6)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

海外ミステリーを読む(その39) [└ミステリー]

エラリー・クイーン(1905〜1971)(1905〜1982)の『Yの悲劇』です。
発表年は、1932年 『The Tragedy of Y』


いわずと知れた海外推理小説の大看板。本格の中の本格。
ただ、日本で顕著ですが、海外ではそこまでの評価ではないようです。

続きを読む


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

海外ミステリーを読む(その38) [└ミステリー]

コーネル・ウールリッチ(1903〜1968)の『喪服のランデヴー』です。
発表年は、1948年。『Rendezvous in Black』 316P

コーネル・ウールリッチはウィリアム・アイリッシュ(幻の女など)の別名義。
前にご紹介した『黒衣の花嫁』と同じプロットになっている。

だからといって、映画の続編のような薄味は微塵もありません。
犯人捜し、謎解きミステリーと一線を画すサスペンスミステリ。

すべては、ひとつの壜がはじまり。
ある男の愛する娘の命を奪う。男との待ち合わせの場所で。
男は来る日も来る日も、来るはずのない娘を待ち続ける。

、、、そして、男は突然に姿を消す。

復讐という狂気が、ひとりの天才的殺人者を作ってしまった。
追いかける警察。
なぜ狙われているかすらわからない被害者。

被害者に合わせて、5つのエピソード(ランデヴー)形式になっています。
殺人鬼の狙うのは、憎む相手が最も愛した人を殺す事。
このへんが狂気なのですが、その手口は巧妙かつ秀逸。どう考えても、プロの殺人者のようですが復讐の怨念は、何でも可能にするのでしょうか。

警察すら把握してないことまで知っているというのは、ちょっとお手持ち気味でリアル感に欠けますが、話としてはおもしろい。

5つとも殺人の手口はかなり違いますが、共通しているのは、「愛と愚かさ」を利用すること。いやー恐ろしや恐ろしや、、、、、、、、。



喪服のランデヴー

喪服のランデヴー

  • 作者: コーネル・ウールリッチ
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 1976/04
  • メディア: 文庫


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

海外ミステリーを読む(その37) [└ミステリー]

ドナルド・E・ウェストレイク(1933〜)の『我輩はカモである』です。
発表年は、1967年。『God Save the Mark』

「ユーモアミステリ」あるいは「お笑いミステリ」と言うんだそうである。
ミステリなので、殺人事件は起こるし、犯人捜しもある。
探偵役も、いるにはいるが、、、。

続きを読む


nice!(1)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

海外ミステリーを読む(その36) [└ミステリー]

エドワード・D・ホック(1930〜)の『サムホーソーンの事件簿』です。

短編集で実は4巻まであります。
手に入ったのが下記2巻でしたのでそのレビューになります。
各短編の発表年は1974年〜1982年あたりです。

続きを読む


nice!(1)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

海外ミステリーを読む(その35) [└ミステリー]

S・S・ヴァン・ダイン(1888〜1939)の『僧正殺人事件』です。
発表年は、1929年。『The Bishaop Murder Case』

個人的には、真打ち登場的な作品です。
ごひいきのヴァン・ダインですし、代表作でもある。
海外ミステリーという枠組みの中では、トップクラスの作品に違いない。

ま、そういう思い入れもあって、かな〜り期待して読んだのでした、、が。

続きを読む


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

海外ミステリーを読む(その34) [└ミステリー]

ウィリアム・L・デアンドリア(1952〜1996)の『ホッグ連続殺人』です。
発表年は、1979年。『The HOG Murders』

時代もこのころになると、書かれる背景が古典ものとはかなり様変わりする。
馬車は自動車になり、汽船は飛行機、部屋の中央は暖炉ではなくテレビ。
さらに現代に近づけば、パソコンや携帯が小道具として出てくるのだろう。
しかたのないところではあるが、興ざめな感もあるのは確か。

続きを読む


nice!(1)  コメント(2)  トラックバック(1) 
共通テーマ:
前の10件 | 次の10件 └ミステリー ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。