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海外ミステリーを読む(その39) [└ミステリー]

エラリー・クイーン(1905〜1971)(1905〜1982)の『Yの悲劇』です。
発表年は、1932年 『The Tragedy of Y』


いわずと知れた海外推理小説の大看板。本格の中の本格。
ただ、日本で顕著ですが、海外ではそこまでの評価ではないようです。

私はこの作品を読むまでに、『Xの悲劇』と『Zの悲劇』を読了しておりますが、3つの中ではこの作品が一番読みやすかったですし、おもしろかった。
500ページあるんですが、中だるみもなく最後まで楽しめました。

推理小説の代名詞たる作品なので、堅苦しい(重厚な)ものを想像しており、かなり気合いを入れて読み始めたんですが、意外や意外、コミカルとさえいえるほどのシュチエーションで展開して、スラスラと読み進められました。

懸念だった探偵役のドルリー・レーンもそれほど、もったいぶらず(あくまでX、zとの対比として)なのも好印象。

お話の舞台は実にオーソドックス。
大富豪のお屋敷内での殺人。
容疑者も親族を含めて、遺産がらみな人たち。
ページ数も多いこともあって、関係者のキャラクターをかなり入念に書き込んでますが、それゆえ登場人物を覚えるのも楽です。
そして、このキャラクターを把握することが、犯人を見つける重要なファクターでもあり、また、作者の煙幕でもあります。

この作品は典型的なフーダニット、犯人捜しです。
今まで、いくつかの有名な海外推理を読んできました。
犯人がまったくわからないこともありましたし、わかったと思ってもはずれたり、最後の最後まで絞りきれないで解決編を読む事も多かったです。

ところが、この作品に限っては、犯人が分かってしまったのです。
200ページ(約4割)ぐらいまでで。
しかも、確信でした。

エラリー・クイーンが『再度の読者への公開状』という前書きの中で、『作者の正体以外のことはみな、本書のストーリーの前半に明らかにされていると信じる』と書いてあります。

なるほど、その通りでした。
その後は、確信した犯人と本の記述(特にレーンの言葉、行動)とを検証しながら読むという、ちょっと変わった読み方に変化しました。

そうすると、おもしろいですね。
すべての記述はちゃんと真犯人へとベクトルを向けているのです。
クィーンとは何と大胆な人でしょう。

それと同時に、煙幕の張り方もよく分かります。
あ〜、こうされると、引っ掛かるよな〜。うまいですよ〜。

あとは、読んでのお楽しみ。

(余談、読んだ人にだけ)
ミルクを一週間も常温で置いておくと、腐ってると思うんですけど?

Yの悲劇

Yの悲劇

  • 作者: エラリイ クイーン
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 1988/08
  • メディア: 文庫


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