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『ゲド戦記』 第3巻  [└いろんな本たち]

『ゲド戦記』 第3巻 さいはての島へ

この物語は、「アースシー」という架空の世界が舞台になっています。

多くのファンタジー物は、この架空世界に、異形の者(物)を多くちりばめ、特殊な超常現象を産み出して、現実世界との違いを構築していきます。

ところが、この物語にいたっては、驚くほど現実の世界に近く作っています。

もちろん、魔法が出てきます。
ただ、この魔法も、「奥様は魔女」的な万能道具としてではありません。
修行により会得した技能、あるいは自然の法則を解明した科学技術のような位置づけで、文字通り「何でも魔法のようにできる」わけではないのです。

実体として出てくる「異形の生物」もドラゴンだけ。
このドラゴンもモンスター(怪物)ではなく、知恵ある生物として描かれている。

人々の生活は、パンやチーズ、豆のスープを食べ、ワインを飲み、ヤギや羊を放牧し、畑を耕し、桃の木を育てる。

海へは、風を利用した帆船で行き来し、漁もすれば、海賊もいる。
鍛冶屋が刀や鍬を作り、機織り職人が布を織り、市場では絹の服が売られ、にせものを売る商人もいる。

時代的にはかなり古いとはいえ、とびきり現実離れした世界でもないようです。
→中世期くらいの西洋文化でしょうか。

ところが、この第3巻だけは、かなりすっ飛んだ話の展開となる。

死後の世界、魔界、地獄、異次元、闇、無、、、、、様々な表現で古今東西呼ばれてきたものと大賢人ゲドが対峙し、乗り越えていく物語。
冒険譚としては、おもしろい。
途中に出てくる「外海の子」と呼ばれる海の民との邂逅が印象的。
結末は読んでのお楽しみですが、この結末が、第4巻、第5巻へのプロローグともなっている。

→ちょっと気になったこと。
やたら寝ているシーンが多い。
水を飲む(あるいは飲めないで乾いている)シーンも多い
これは、全巻通じてのように思えます。
何か意味があるのか、単に作者の作風なのでしょうかねえ。


ゲド戦記 3 さいはての島へ

ゲド戦記 3 さいはての島へ

  • 作者: アーシュラ・K. ル・グウィン
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2006/04/07
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


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