『ぼんくら』宮部みゆき 上巻 [└いろんな本たち]
買い置きしてあった本をひょいと手に取って読み始めた。
すると、おもしろいこと、おもしろいこと。
あれよ、あれよと云う間に上下巻を完読しちゃいました。
「花のお江戸」のお話であります。
TVの時代劇ですと、江戸の治安を守っているのは「お奉行所」ということになっている。北町、南町のあるやつ、いわゆる町奉行です。
その長は「お奉行」で、大岡越前、遠山の金さんが有名。
配下に、「与力」という役職があり、さらにその配下に「同心」がいる。
『必殺シリーズ』の中村主水は「同心」
『大江戸捜査網』の左文字右京、井坂十蔵なども「同心」
町奉行ではないが『鬼平犯科帳』の佐嶋忠介は「与力」、木村忠吾は「同心」
ちなみに『鬼平』の「火付盗賊改方」は「町奉行」とは別組織の治安維持部隊。
そして、その手下に、岡っ引(御用聞き、目明かし)がいる。
銭形平次、人形佐七、黒門町の伝七、三河町の半七、などなど有名人いっぱい。
さらに、その下に、八五郎(平次の配下)などの小物がいる。(注1)
こう書いてくると、すごい組織のようであるが、江戸の町というのは、思った以上に大きく、とてもこの人たちだけでは、カバーできなかったのだそうである。
末端の細事まで面倒をみる、自治組織が必要となってくる。
この本には、そのあたりの事情が詳しく書いてあり、
それがまた、この物語の重要なバックボーンとなっている。
町人の自治組織、
その頂点に立つのは「町年寄」で、樽屋、奈良屋、喜多村の三家が代々世襲で努める。
その下が「名主」で、当初は自然発生的に出てきたもの。町の有力者である。
そして、この名主たちが、その町の「地主」「家持ち」を束ねることになる。
本来なら、貸家や長屋に暮らす人々は、これらの監督下になるわけだが、実際には手が回りきらないので、「差配人」を代理人として置く事になる。
落語によく出てきますね、「家主」「家守」「大家」とも呼ばれる人たち。
だから「大家」は地主でも、家持ちでもなく、その雇われ人ということになる。
簡単に書くと、こんな感じ
「町年寄」
↓
「名主」
↓
「地主」「家持ち」
↓
「差配人」(家主、家守、大家)
↓
「貸家や長屋に暮らす人々」(店子)
このうち、「地主」に変わって「五人組」をつくり、実質的に市政を運営していたのは「差配人」である。(注2)
「地主」を飛び越え「名主」と合わせて「町役人(ちょうやくにん)」と呼ばれる。
さて、物語は、鉄瓶長屋という江戸庶民の生活の場を舞台に、
主人公のおっとり「同心」と、いわくのありそな「差配人」が中心となって進んでいくことになるのですが、、。
ちょっと長くなってきましたので、次回へと続きます。m(_ _)m
(注)
1.名前を出した有名人は、実在とは限らないので、あしからず。
2.「五人組」→学校の社会科(歴史)で習いましたね。
これは、私の大好きリストに上位ノミネートされてます
良いですよね
by (2007-02-23 09:02)
のんべいキャサリンさん、いらっしゃいませ。
ベストセラーなので、お好きな方も多いようですね。
舞台が江戸時代ってのが、良いんだなあ。
by YumYum (2007-02-25 19:21)