SSブログ

海外ミステリーを読む(その51) [└ミステリー]

ノーマン・ベロウの『魔王の足跡』です。
発表年 1950年 (国書刊行会)

MA.JPG

とにかく、おもしろい!
パズル好き、謎解き大好き人間にはこたえられない!

作者のノーマン・ベロウ、はっきり言ってあまり有名ではない。
だって、本の著者紹介も、
「1902年生まれ、イギリスの探偵作家、生涯の大部分をオーストラリアとニュージーランドで過した。詳しい経歴は不明」というような事だけ。

ただ、その作風がおもしろく、近年、再評価されているんだそう。
21冊の長篇がありますが、ほとんどが、「密室殺人」「人間消失」などの、いわゆる不可能犯罪を取り上げたもの。
あまりに突飛で斬新な状況設定なので、人狼、幽霊屋敷、魔術というようなオカルト的な事件として、登場人物たちには受取られる(当然、読者へのミスディレクションを誘う)という風になります。

本作品も『魔王の足跡』という題名からも分かるように、魔王(悪魔)が出現して、残していった足跡だというオカルト的な色彩を持たしています。

しかし、この作品はあくまで、ミステリー、
しかも、「密室殺人」テーマの純粋なパズル、謎解きの味を持っています。

発端は、朝、村中を巡り歩く「一本」の蹄の足跡が、降り積もった雪の上に発見されたところからです。「雪密室」というやつですね。

警察までが、あまりの不可解さ、論理的に説明付けようとしても、説明しきれない状況の中で、オカルト的な結論になりそうになります。

なぜ、足跡は突然現れ、突然消える?
なぜ、生け垣の上を歩ける?
なぜ、建物を通り抜けられる?
なぜ、なぜ、なぜ、、、、、?

解明しようすれば、するほど、わからなくなってきます。
350ページほどの長篇ですが、あまりゴタゴタとした余計な事は書いておらず、「全編、謎解きを楽しんでね」という思いで作者は書いてくれています。

最後の解答編については、多少、不満の残る部分があって、それがなければ、カーなみに有名になってたかも知れません。

ちなみにこの本は、国書刊行会の『世界探偵小説全集』というシリーズのひとつですが、他にも、埋もれた名作やあまり知られていない作家の作品など、おもしろそうなものがたくさんありました。





魔王の足跡 世界探偵小説全集 (43)

魔王の足跡 世界探偵小説全集 (43)

  • 作者: ノーマン・ベロウ
  • 出版社/メーカー: 国書刊行会
  • 発売日: 2006/01
  • メディア: 単行本



タグ:ミステリ
nice!(1)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 1

コメント 2

翠

この作者、お恥ずかしながら私は全く知りませんでした(^^;)
とてもおもしろそうな内容ですね〜☆
謎解きをじっくり楽しみたいです!
by (2008-07-18 22:46) 

YumYum

翠さん。いらっしゃいませ

私も知りませんでしたよ。^^
最近、ミステリー作家の有栖川有栖さんのファンになったのですが、氏が推薦してくれている作品で、手に入りそうなのから、読み進めています。いまのところ、はずれがありません。読みたい本がいっぱいで、うれし!
by YumYum (2008-07-21 07:40) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。